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水の庭

第一楽章
「​破れ」
​II

2.
結月の曽祖父は海軍大将だった。
だから、真早紀の祖父が海軍大将。
その海軍大将は、敗戦後責任を取って自刃した。戦後、戦争の歴史に敗れて、自殺した、ということ。沢山の家族や親せきを残して。日本の歴史に通じている人なら判ると思うが、この海軍軍人、昔の言葉で言えば「海兵」の没落振りには凄いものがある。これは陸軍軍人も同じであるが。そういえば、ともかく結月の曽祖父も戦犯指名された。それで公職追放である。一言で言えばそれで死んだのだ。
戦前、海軍軍人というのは、誉れ高い栄光の華だった。まさにこれ以上の栄華はない。今では想像し難いと思うが、昔は旧制高校から帝大に行くより海軍兵学校に行く方が「カッコよ」かった。帝国主義の時代のことである。逆に言えば、どれだけ帝大卒とは言っても、生っちょろい貧弱な知能派という印象は否めなかった。今でもアメリカや、軍人のある国なら当たり前のことと思うし、とくに王室とサンドハーストなどがあるイギリスでは当たり前のことと思うが、「軍人」というのは国家のファルスである。つまり「当たり前」であり「栄光」なのである。去勢された人類である日本人にはもう判るまい。
本当に判んないんだよ?

公開日:2026年5月15日

Author

天羽 柊
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